<<  main  >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

ソウル編参加者レポートその5
小劇場ミュージカルに対するワークショップを終えて

 まず、このような機会を私たち学生に与えて下さったアン先生に感謝の気持ちを伝えたい。
他の国の学生達に会うと言う事…。そしてまたその学生達も俺たちと同様演劇に興味を持っていて色んな話が出来るとの事を聞いていたので、会う前から俺は期待に胸が膨らんでいたが、最初の出会いはぎごちないものだった。円形に並べられたテーブルを挟んで向かい合って座っていた俺は目の置き場に困り、続けてカメラで写真を撮るしかなかった。始まりは硬い雰囲気だったが、その雰囲気が嫌なものではなかった。


一つの共通のテーマに関して自由に話し合える場であったため、俺は自分に何れ与えられる時間を静かに待っていた。その短い最初の顔合わせの時間が終わり、用意されていた公演『あなたが眠っている間』を観るためその場を立った。この話は最近大学路で上演している他の作品同様、単純なストーリのものだった。劇の途中に反転などはあったが、観客に感動とショックを与えるほどではなかった。観劇の最中、もっとも心配していたのは日本の学生へのセリフの伝達だった。無論演劇かミュージカルを観る際、言語が全ての要素を表現出来るとは言えないが、言語の影響力を無視するわけにはいかない。幸いにも観劇後、今回の通訳の人が公演内容を簡略に説明してくれたので少しは安心することができた。
日本の学生達において観劇後、もっとも印象的だったところは韓国の小劇場ミュージカルのパワー溢れる舞台らしかった。日本では小劇場ミュージカルがほとんどなく、ブロードウェーの大型作品だけが上演されていて、小劇場では演劇だけだと言っていた。日本の学生からは今回の観劇では俳優らからのパワーは印象的だったが、小さい舞台なのに俳優らがマイクを使用していたかについては理解出来ないとの話しが出た。考えてみると確かに一考を要する所かも知れない。我々は常に数多くのミュージカルを観ていて、それに馴染んでしまったためそのような疑問には至らなかったのだが、もしマイクを使用しなかったらもっと観客と分かり合えたかも知れない。それともう一つの問題点は演劇のセリフだった。最近の韓国での演劇においては現在の社会をそのまま反映し、リアリティを追及するため舞台で「ヨク」(韓国語で悪態もしくは卑語、スラングの意味)が自然に使われているとの事だったが、この説明に日本の学生らは納得できない様子だった。日本では日常生活の中で使われる卑語だとしてもせいぜい10個くらいある程度で、舞台上ではほとんど使われていないとの事だった。俺は当初、ただ文化の差異による意見の差だと思っていたが、リアリティを追求するために「ヨク」が本当に必要不可欠なものであろうか、という疑問に徐々に取り付かれ、最終的にはもし「ヨク」を舞台で使用するにしても演劇言語的「ヨク」を使うのがもっともではないかと思うようになった。アン先生はこの話を聞いて、現在の韓国の演劇が抱えている問題点だとおっしゃった。演劇言語と日常の言語があれば、日常の言語が演劇に合わされた時、演劇言語が生まれるのだが、現在には演劇の言語が日常の言語を取り入れようとしている状況であるため、このような問題点が浮き彫りになるとの事であった。演劇言語だけが持ちえる独創性が失われつつあるにも関わらず、一般の観客はその点にまったく気づいていないという現実。俺自身も今回のワークショップの期間中もっとも深刻な問題として受け止めたのはこの点であって、またこれからの演劇とミュージカルはこれらの問題点を看過してはいけないと思った。
パク・ヒョンチョル

スポンサーサイト
Comment








Trackback